ステンドグラスへの想い 21 天草の思い出

『Ballon』  w11m×h0.8m  ミュウジアム如水館ロビー欄間  天草苓北町

永年ステンドグラスに関わっていると予期せぬ出会いに驚く事がある。
昨年、出会ったファッションデザイナーのNさんに飲む席ではあったが、
紹介された若く美しい女性、話が弾む程に初対面であったにもかかわらず
こころ打ち解け、出身地の話になっていった。

生まれは何処ですか? ハイ熊本です! 
ああ熊本ですか、高見の出も熊本ですよ一緒ですね…と
たわいのない話が弾むほどに、段々地域が狭まり
天草の話に発展、そして天草の奥の苓北町の話になっていった。
エッ、実家は苓北町ですか。 
以前仕事でお世話になりましたよ。
10年程前に苓北町にある大きな病院にステンドグラスを入れさせて貰いました。
私の実家は病院をしてます!
ひょっとして、それは私の家のステンドグラスではないでしょうか?
エッ、ホントにあのステンドグラスは高見さんの作品だったんですか?
じゃあ、そこのお嬢さんですか…驚いたな!

偶然の縁とは不思議なもので、まさか?が起こるモノなんですね。
たわいのない挨拶程度の話から、考えられない話に発展していく…

私のステンドグラスがはいった病院の施設は、ミュウジアム如水館(図書館と美術館)で
地域の人やこども達のために私費で建てられた立派な建物である。
海に面したロビーの欄間に、院長先生のご要望で佐賀平野で毎年行われる
「バルーン」(w11m×h0.8m)をイメージして製作、ナルシサスのロンデルを
贅沢に多用した作品である。
なかなかこのレベルの作品は創らせてもらえない、ホント作家冥利に尽きる仕事でした。

この苓北町のJ病院は、重度障害者のための大きな授産施設や敷地内にスタッフ家族のための
保育園等を運営し、毎年夏には地域とこの施設に関わる人達のために海上花火大会を
自費で行ってるとお聞きした。
障害者施設など見学させてもらったけど立派な施設でしたね。
決して病院の片手間に造られた施設では有りませんでした。
また、病院内に治療の為の温泉を堀り、老人や障害者などの弱者への熱い思いをコンセプトに
運営されてる病院だと強く感じました。
院長先生(紹介された女性のお父さん)の姿勢が素晴らしく、感激して帰ってきたのを
今でも思い出します。


※参考までに、高速を車で走って福岡から天草苓北町まで所要時間は片道約5時間。
往復10時間近く掛かることになる。
ちなみに打ち合わせは1時間強…、3・4回は往復したと思う。
遠い道程だったけど、不思議としんどかった憶えはない。
楽しいドライブだった。
道中、町の雰囲気が少しずつ変わっていくのが楽しみでしたね。
目的地に近づく程に、時間や空気までもがゆっくり流れていくようで
タイムスリップしたような、昔懐かしいのどかな光景でしたね。

 風光明媚な天草五橋を渡り海岸に沿って走る、途中イルカウオッチングで
有名な五輪町を通り、有明海を挟んで、対岸に島原と噴火していた普賢岳を
見ながら走る光景は、今でも忘れることが出来ません。

近い内に、是非もう一度行きたい町のひとつですね。
作品にも会いたいですね!

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