ステンドグラスへの想い 26 ”偽”の怒り

「Flowers92 」  N氏邸玄関フロアー 
w900×h2000 1992年製作8月

 新年早々嬉しいことがひとつありました。
一昨年無くなったK君のご両親から年賀状、”K君がお兄ちゃんになります! 
3月が予定日です”新年早々、何よりも最高に嬉しい知らせです。
難病の子や障害児を持つ親にとって次の子を産む事は、なかなか踏み出せ無い事です。
とにかく一粒種のK君を亡くした後のご両親のことが心配だっただけに、年賀状の後に
電話にてご夫婦の明るい声を聞き安心しました。

 嬉しいことがあれば、反面嫌な事もあります!
昨年の12月16日午後8時頃、日課のウオーキングをする前にストレッチをしながら、
何気なく、本当に何気なくテレビを見ながらストレッチをしてると、豪邸紹介の番組
「これが噂の大豪邸」(テレビ東京)が目に入った。
 丁度、長野のK氏邸の場面、奥さんがコインランドリーを、ご主人がガソリンスタンドを
経営しておられるみたいで立派なお家、特に内閣総理大臣賞を頂いたと云う組子障子の建具が素晴らしく、つい見てると各部屋の紹介の後にリビングルームの場面、
アップで赤いステンドグラスが写し出される。
赤い花みたいな画面、仕事柄興味があったのでストレッチをやめ、
つい見てると全体像が写し出された。 
一瞬目が点になり、愕然とし怒りがこみ上げてきた。

 其処に映し出された絵はまさしく私が1992年(今から16年前)に製作した「Flowers’92」という作品…
余りにも似てると言うよりも細部のディテールまでそっくり!
ただバックのガラスの色(白)は一緒だけど、多メーカーのガラスに変えられてる。
しかし、怒りが込み上げた理由のひとつは、上下逆にして製作されてることである。
おまけにサイドに幼稚な蝶々が付け加えられてる。
この作者は、何の花をデザインしたのか解っているのだろうか(逆にすると意味がない)?
7・8年前に製作されたと云うことですが、何故安易な方法をとったのだろう?
テレビの中ではあるが仕事を見てみると、結構作ってきた人ではないかと思う…、
とても残念で仕方がない。
 私も含めステンドグラスに関わる人が最も気をつけなければならないのは、
絶対に信頼して仕事を依頼されたお施主に対して、好意を裏切っては行けない事だと思う。
お施主の”想い”に添う作品を作る姿勢、そこは私自身常日頃、最も大切にしてるところです。    
お施主に対してこんな侮辱と裏切は無いと思います。

 昨年の年末に発表された語『偽』…
いろんな分野で明らかになってきた偽装の実体、問われてる現在、ステンドグラスの世界でも
同じ事が未だに行われている。
 2.3年前にも日本の有名な画家が、イタリアの画家の絵を1枚だけならまだしも何枚もそっくりに
盗作をして話題になった事件があった。 ある国では、ディズニーランドをそっくり(?)に真似、
日本のアニメキャラクターの真似等々…余りにもひど過ぎる。
 ステンドグラスの世界だけは、そうであって欲しくは無いと思っているが、
余りにもこう云う話しが、正直昔から多すぎる。 
自分の製作する作品に於いてはプライドを持って欲しいし、最低限度のモラルを
持って欲しいと切に願う。 
今になって同じ作家仲間であるS氏の苦悩と怒りが改めて解る!

※ステンドグラスを生業としてる人達に是非お願いしたい。
下手でも良いじゃないか、「素」のままの自分で表現し創った作品こそ、
本当の意味でのオリジナル作品だと言うことを忘れないで欲しい。
お互いに、正々堂々と世に誇れる作品を創ろうよ!
自分だけの世界(オリジナル)を持ってる人程、素晴らしく輝いてる人はいないよ。

☆コメント有り難うございます。
 この世の中、ホント腑に落ちないことが多過ぎますね。

コメント

  1. あすか より:

    なんと書いて良いものか分かりませんが…何事にも誇りを持って行動してほしいですね。
    偽りには誇りは存在しない。
    偽りという言葉すら、人の為と書いた偽りですもんね。
    ステンドグラスを始め、何事も……

  2. chapio より:

    すみません!怒りのブログを拝見して、やはり先生はすごいと、少し嬉しくなりました。実は私もクライアントから聞いたのですが、知らない設計事務所と建設会社と思しき大勢の人が、私が計画監修した建物をいきなり見に来て、ビデオや写真をとって帰って行ったようだと。その後、近くに似たような建物が出来ていた!と、またクライアントが頼んだ建設会社も、私の計画した建物と似たような住宅を造りたいと他のクライアントから頼まれたので、同じように造りました追打ちをかけるように告白されました。先月一年点検で長崎に行った際そんな事を聞きました。ショックでした。似たような事が過去何度もあります。私も若い時は、何も解らず、納まりや色彩、光りや影の造り方等、物真似から入ったような気がします。いろいろ経験を重ねオリジナルの表現ができるようになったと思っていますので、光栄な事かもと諦めたりしています。しかし出来たものには確実に、作者の想いやメッセージが込められていないので、偽者です。そんな偽者を良しとする低俗なクライアントが多いのが問題だと思います。しかし先生の作品の盗作は、かなり悪意に満ちた商売なのだと思います。私も貧乏に耐えながら何時まで今の仕事続けられるか解りませんが、精一杯後悔の無いようにやるしかないと思います。お互いに頑張りましょう。高見先生の活躍は私達の励みでもあります。

  3. 紗矢香 より:

    お久しぶりです。来月お会いできるのを楽しみにしています^^。
    それにしても、盗作という行為が一度だけじゃなく何度も行われているのは、悲しい限りですね。
    それだけ、素晴らしい作品には、いろんなリスクが付きまとうものなのかもしれません・・・。
    すごく悔しいことだと思いますが、その怒りや悲しみを、新しい作品として表現してくださる事をを期待しています。
    高見さんの作品を真似ても、どんなに精密に真似ても所詮「偽」です。
    私も、オリジナルを表現しているさまざまな方とお会いする機会が増えたことに感謝をし、
    自分を偽らず、高見さんのように生きていけるよう精進したいと思います。

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