長崎電気ビルの作品を制作し始めた頃、宮崎空港ビルの仕事の依頼がある。
最初は、2Fカフェテリアの仕事・次に3Fサロン間仕切りの仕事をする。
すべての仕事が終わり、アトリウム天井一杯に広がるFixをみて、
(ここにステンドグラスが入ると素晴らしいのに…、
まさにステンドグラスの為にある窓面だと、心の中で独り言…)
すると後方より、「高見さんどうしたの!」と声をかけられる。
ビックリして振り向くと、空港ビルの社長だった。
最初戸惑ったが、持ち前の図々しさで、心に思ったことを正直に話した。
その時はそれで終わったのだが、後片付けも終わり、挨拶をし帰ろうとする私を社長が呼び止め、
(さっきの話だけど、具体的に どうなるか解らないが、一応ステンドグラスを入れたらどうなるか、
企画書とデザイン画を出してみて!)
エッ! こんな展開に成るとは…、ごく普通の立ち話しだっただけに驚きでした。
最初の依頼は、Fix全面ではなく、Fixの中央1/2部分だけでした。
余りにも大きな窓面でしたので、予算も考え一部の窓の計画から始めました。
(宮崎市は、花がいっぱい咲いてる街がコンセプトです! 空港の敷地の中にも
たくさんの花が咲いていますので、この花をテーマにデザインお願いします!)
前回の長崎電気ビルと違い、今回はテーマを提示されました。
長崎の重く心痛めるテーマと違い、
とにかく私には、宮崎のイメージは温かくて光りがいっぱいの青空…という印象、
前回と180゜違う正反対のイメージでした。
同時期に、両極端のテーマにチャレンジ出来るのは、難しいけれど幸せな事かもしれませんね!
ただ、デザインに取り掛かる時考えてたのは、
長崎電気ビルの時同様、「見る人達が参加できる作品」と言うことだけでした。
空港の敷地に咲いてる花…、まずハイビスカスにカトレア、
宮崎空港のメインの花ブーゲンビレアにポインセチアと順に描いていく。
宮崎のイメージをどう表現しようか?
市や町や人々をどう表現しようか?
新婚旅行のメッカだった観光宮崎を全国に知らしめ、いまだに皆さんの心の中に生き続けている
岩崎イズム(宮崎交通の創始者理念)をどう表現するか?
長崎とは大違いの悩み、盛り沢山過ぎてつぶれそう…本音です。
でも、大変だったけど何故か楽しくデザインできました。
とにかく宮崎の青空のように楽しもう…、苦手の花も楽しんで克服。
レイアウトができ、いざ彩色で突然筆が止まる!
バックを仕上げ、最後花の順番になって、どうしても色を付けたくない衝動にかられる。
よし、花だけはモノトーンで表現しよう…そして花の色は見る人達に入れて貰おう。
やっと納得いく絵が出来上がる!
次の打合せの中で、
デザインは良いけど、しかし実際に出来上がった状態が想像出来ない?と疑問の声
実際に原寸で絵を描いて見せて欲しい…、
できればその中の一枚、実物を創って見せて頂きたい…との言葉。
エッ!まいったな…、大変なことに成ってしまった。
しかし、ここまで来た以上、後戻りは出来ない。
解りました、実寸で絵を描きましょう、Fix面に貼って実際に見て判断して下さい!
地上25m吹き抜け、高所恐怖症で怖いけど仕方がない。
2ヶ月かけて、実寸のサンプルと絵を描き上げる。
空港の業務が全て終わった深夜、現場に上がり、寝ないで朝一番の打合せに間に合うように準備する。
それでも、社長や幹部の方々を納得させられず、
あーでもない、こうでもないと話し合いが続く…、何度続いただろうか?
次につづく
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