ステンドグラスへの想い 8(長崎電気ビル2)

CREATION=Heaven(天の創世)/w2500×h7000 /1994/1F玄関ロビー
CREATION=Nature(地の生々)/w2500×h7000 /1994/1F玄関ロビー
CREATION=Jubilant(歓喜)/R900/11Fラウンジ

縁があればあるほど、デザインへのプレッシャーは重い
相変わらず、デザインのスタートは苦しく辛い…
頭の中や心の中は台風が吹き荒れ、パニック状態が続く
逃げ出したい気持ち一杯、描き出す切っ掛けに出会えるのをひたすら待つ…

長崎の文献を探し、長崎の歴史を調べる。
余りに重い、本当に重すぎる現実を知る、目を背けたくなる現実…
小学校で学んだ事と現実のズレを知れば知るほど?マークが増える。
小学校の授業で先生より「原爆の後には、5、60年草木も生えない」と教わった。
そのわずか数年後、修学旅行で行った長崎は、私達が住んでる町と全然変わらず、
平和祈念像も原爆資料館も大浦天主堂もグラバー邸もあった。
教わったとおりであれば、荒涼とした荒れ地でなければ成らないはず…
子供心に不信感と疑問を感じた。

小さな漁港の村、日本の歴史の中でこれ程、翻弄された場所が有っただろうか…
外に開かれただけで、キリシタン弾圧、明治維新、開国の渦の中
色んな事がこの街で起こったのだろう…
しかし最後のだめ押しは、余りに酷すぎる!
何を描けば良いのだろう…か、ホントに迷う。
ちょうど、その時、尊敬している恩人より、ヒントを貰う。

長崎を復興した市民の方達に、エールを送りたい、エールを送る作品を創ろう!
精神性を込め、壮大なテーマ、物語を描くことに決める。

ひとつは神を象徴する絵を描きたい!
神を光りとして表現、至上の光り、荒れ果てた大地、不安と絶望の中、一筋の光りがさす…
一筋の光りから、段々と幾重もの光がさし、見る間に地上に光りのシャワーとなり降り注ぐ、
不安と絶望に打ちひしがれた人々を、光りは輝き優しく包み込む…
物語が勝手に出てくる…、何だろう?  
戸惑いの中『天』/Heaven(天の創世)の絵ができあがる。

もう一つは、生命の再生を描きたい!
荒れ果てた大地に降り注いだ至上の光り、
全てが破壊された無の世界、瓦礫しかない褐色の山や野、川や海に小さな生命が息吹き、
やがて山や丘や野には緑がもどり、あらゆる生命が地上にもどる。
まるでノアの箱船のように… 
『地』/Nature(地の生々)ができあがる。

最後に、完結として人々の喜びを描きたかった!
復興の後にくるのは何だろう…
汗にまみれ、涙 にまみれ、
苦労して死にものぐるいで復興を果たせた時に来るものは、
自分たちで再生した無上の喜びではないのか?
生きてる証を実感できる、心の底から湧き上がる喜び…
最後に『人』/Jubilant(歓喜)ができて、『天、人、地』がまさしくできあがった。

こうして出来上がった作品、私の勝手な物語だけど…
描いてる途中、何度も考えさせられた。
原爆を落としたのも人間、過酷な条件の中、再生を果たしたのも人間!
今現在、まさにこの青い空の下で行われている、悲惨な出来事の数々
心が痛む…!
復興にかけた長崎の人達の凄さ素晴らしさには、本当に頭が下がる。
何処まで描き切れたか解らないが、この電気ビルの地は爆心地と言われ、
この場所には女子社員寮があり、沢山の方達が亡くなったと聞く…
私ごとき何もできないが、この方々の冥福を祈り、
鎮魂の意味を込め、精一杯気持ちを入れ、創らせて頂いた…!

もう一つのテーマ、見る人が参加できるステンドグラス!
(ベベルグラスを透して見える風景、動くと風景も屈折して動く小さな発見)
子供たちが発見してくれると嬉しいのだが…

創らせて頂き本当にありがとうございます!
心からお礼を云います。

あなたの代表作はどれですか、と問われたら、私はこの作品をあげたい。

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