ステンドグラスへの想い 7(長崎電気ビル1)

CREATION=Heaven(天の創世)・Nature(地の生々)/ w2500×h7000
長崎電気ビル正面玄関ロビー / 1994

現在までに創ってきた作品のひとつひとつに、想い出やドラマがたくさん有ります。
そんな中に「縁の仕事」が有ります。
「縁のある仕事」、今までに創ってきた作品全てが縁のあった仕事ですが、
追いかけなくても、無理をしなくても来る仕事、縁のある人でしか創れない仕事は
不利な条件の中でも制作者の意志の通る仕事です。
逆に、無理して取る仕事は、大きなリスクを背負い込ま無ければ成りません。
辛い仕事です。

長崎電気ビル(九州電力)のこの仕事は、私にとって「縁の仕事」でした。
私の所に依頼があったのは、ステンドグラスの大きなプロジェクトが長崎であるらしい…
と噂を聞いて、しばらくしてからでした。
地上11階建てのビルは、基礎工事は完全に終わり,
1階フロアーができ2階部分に掛かっている時でした。
計画からかなり時間が立ち、進行途中で依頼があるのは、小さな物件では良くありますが
大きなプロジェクトでは大変珍しい事です。
最初、信じられなくて、“何で…?”でした。

大手ゼネコンの担当者より頂いた、その当時珍しかったCGで作成されたコンセプト。
各階のカラーや家具類、仕上げ等の他に、ひとつひとつ、テーマに沿って綿密に計画されてました。
正直、とんでもない仕事を受けてしまった…、うれしさよりも怖さが先でした。
怖さは、その後、出来上がるまでの一年全く消える事は有りませんでした。
しかし、デザインに取り掛かって悩みました、何を描こうか、何を描いたら良いのか全く解りません。
相手側からは、「長崎市の花や県の花、長崎に関わる歴史的な話し」が有りましたけど、
私の中では疑問でした。 

ご存じのように、歴史ある長崎の町はステンドグラスに溢れています、
ステンドグラスのメッカとも云える町に、「何をテーマ」に描けば良いのか?
悩んだ末、私の中で出した結論は、
「何で高いお金を使って、観光ポスターを創らなければならないのか、もう長崎では充分だろう!」
打合せの会議の中、オーナー、建築家、ゼネコン担当者の前で、
「観光ポスターみたいなステンドグラスは創りたくありません。 
私としては精神性を込めた作品を制作したい!」と生意気に云ってしまい、
受けいられるか、駄目と一括されるかとビクビクでした。
すぐすんなり「是非それでお願いします」との回答、本当に意外でした。 
すんなりと受け入れて貰えば貰ったで、大変なプレッシャーでした。
最初の計画では、ステンドグラスは玄関正面ではなく、サイドに位置してました。
設計図と完成図をみてもピンとこなくて、何度も話し合いのすえ、
正面玄関に決定した時は、「よし、これで良い」心の底から俄然燃えてきました。
「縁の仕事」なんですね、全てが良い方向に進んでいきました。
何故か宿命みたいなものを感ぜずにはおれませんでした。

次にデザインのコンセプトを書きたいとおもいます。

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